今日はここへくる前に奥の院を歩きました。
そこには超有名な武将、武田信玄とか、織田信長だとかのお墓があります。
そんな勇猛果敢で知られる武将たちでも、おそらく、日が沈めば休み、日の出とともに動いていたと思います。
今スマホで撮影している人がおられますが、
スマホも使ったら充電する必要があります。
スマホの充電のように、私たち人間にもオンとオフでバランスを取る必要があります。
このお山、高野山を開いた方、弘法大師空海は京の都と高野山を行ったり来たりしていました。
京では帝(みかど)の側、政治の中心で活躍し、そして、しばしばこちらのお山に籠ることもありました。
言わば高野山は政治的には「休憩」だった訳ですが、
それはホリデーやバカンスという意味のお休みではありませんでした。
…ここにお不動さんがいますね?
怖い怖いお顔をしていますが、
これは鬼の顔ではありません。
この怖いお顔は、固い決意の表れなんです。
少しでも自分の周りを、国を世界を良くしようという不動の決意がお顔に表れているんですね。
お大師さんは、自分の決意を固めるために、京を遠く離れ、山にこもって修行をされ、
その理想へ向かう決意をより固くして、また京に出て行って活躍されたのでした。
それから1200年、(大きなお堂をぐるりと見渡しながら)こうして高野山は修行の道場として大きくなってきました。
今日、護摩の炎を焚いたのは、お不動さんが背負っている炎を、生きた形で皆さんにお見せするためです。
私たちはどんなに熱くても、一歩も引かないという姿勢を皆さんにお見せすることで、
お不動さんの固い決意をお伝えしています。
(穴の空いた法衣を見せながら)
爆ぜた炭が衣の上に乗って、本当はすごく熱くても、何ともないような顔をして払いのけます(笑)
お不動さんや護摩、そして高野山は、さまざまな恐怖心に打ち勝って、自分の理想を実現する。
そしてそのために精神集中、心をまとめる時間を取る大切さを教えてくれているんですね。
それでは、今日の護摩はこれで終わります。
皆さん、どうかお気をつけてお帰りくださいね。