仏教では昔から「自利利他」を言う。
自利利他とは、自らの利益と他者の利益が一致することだ。
その中で、
「自利とは利他をいう、そしてその『利』とは『りやく』、すなわち仏の教えに従って得られる本当の幸福であって、単なる『りえき』のことではない」と書かれてあった。
とすると、自利利他は、単にwin-winという言葉と同じ意味ではないだろう。
自利利他は、経済的に成功する「秘訣」として書かれてはいるのだけれど、
何しろそれは「ごりやく」なのだから、深い真実を捉えて、揺るがない幸せを指す言葉だ。
そういう「りやく」が自他平等に成立するとはどういうことか。それも書いてあった。
それは、
「他者のりやくを実現する中に、己れのりやくをみつけること」。
経済活動をしていても、ただ儲けるという表層だけでなく、
経済活動を通して、自身への深い洞察を自他にもたらす。そういうことだろう。
自身への深い洞察こそが、人生に「ごりやく」をもたらすのだから。