danapati’s blog

お坊さんのブログ

空海、仏と輪廻を語る

※原文↓(そのあとに翻訳してあります。)

近くして見難きは我が心、細にして空に遍ずるは我が仏なり。我が仏、思議し難し、我が心、広にして亦た大なり。

自心に迷うが故に、六道の波、鼓動し、心原を悟るが故に、一大の水、澄静なり。

澄静の水、影、万像を落(うつ)し、一心の仏、諸法を鑒知したまう。

衆生、此の理に迷うて、輪転して絶うる能わず。蒼生、太だ狂酔して、自心を覚ること能わず。

訳↓

すごく近いのに見えないのは自分の心。

細やかで世界全体に行き渡ってるのは自分の仏。

私の仏は、考えで測れない。

私の心は、広く、そして、無限大。

自分の心は、本来、そのように広大なもの。

それは仏心そのもの。

それをわからないから、六道輪廻の波が鼓動する。

心のみなもとを悟るから、

一つの大きな水は、澄んで静かとなる。

その澄んで静かな水の、その水面(みなも)には、

ありとあらゆるものの影が映り、

この一つの心の仏は、全部そのままに知っている。

人々は、この自分の心の仏に迷うから、

輪廻してやまない。

皆、おおいに無明の中で狂い酔っていて、

みずからの心そのもの、自分そのものを覚ることができないんだ。