大日如来とは誰のことか
そのもとは私の心の中心
仏の身体とことばと心は世界に遍く満ち
この虚空を道場として飾っている
仏は山を筆、海を墨として文字を点じ
天地はその自然のお経を入れる箱である
あらゆる万象はその点画のひとつひとつに含まれ
この世のありさまを巻き物にしたためている
遮那は阿誰号ぞ
しゃなはたれがなぞ
本これ我が心王なり
もとこれしんのうなり
三密刹土に遍し
さんみつせつどにあまねし
虚空に道場を厳る
こくうにどうじょうをかざる
山毫溟墨を点ず
さんごうめいぼくをてんず
乾坤は経籍の箱なり
けんこんはけいせきのはこなり
万象を一点に含み
ばんしょうをいってんにふくみ
六塵を縑緗に閲べたり
ろくじんをけんしょうにすべたり
弘法大師『性霊集』