「見る」ことを考えたときに、
なるほど外側に物があるのかもしれません。
しかし、その物の姿は眼球の水晶体を通って、
網膜にその像が映り、
その像が視神経を通じて脳に伝えられるでしょう。
そこで網膜に映った像が視神経を通じて脳に伝わるというときに、
物理的な像のままで伝わるのではありません。
細胞ごとに情報は分割され、電気的な信号かなにかで脳に伝えられるでしょう。
脳はその情報を解読して、映像を作り出します。
こうして少し反省してみると、決して私たちは外のものを直接見ているのではなくて、脳が作り出した映像を脳が見ていると考えざるをえないでしょう。
脳は自ら像を作り出してそれを見ていることにならざるをえないと思います。
「『成唯識論』を読む」 竹村牧男 著
つづく