danapati’s blog

お坊さんのブログ

竹村先生の本の要約4

脳が対象の像を作りだすはたらきを心といえば、

心は心の中に映像を浮かべてそれを見るものであります。

それが心なのです。

仏教の「唯識」で考えている識は、まさにそういうものです。

自分の中に対象の像を現し出して見るもの、

そのような構造をもっているものが識です。

心の中に見るものと見られるものとがあるのです。

我々が見たり聞いたりしているものは、脳が現わし出したものかもしれない。

言い換えれば、心が現わし出したものかもしれない。

しかし、それを生み出す基になる外の世界のものがあるのではないか。

東京から新幹線に乗ると時間通りに京都に着きます。

そのような時間・空間からなる物質的な世界が外にあるのではないか。

これは極めて当然の考え方だと思います。

ただ、唯識の場合、

我々が、その外のものと思っているものが、

もうすでに自分の心の中に取り込まれた像だと言っているのです。

「『成唯識論』を読む」 竹村牧男 著

要約