danapati’s blog

お坊さんのブログ

あの世とこの世?

今回はちょっと難しいけど僕自身のメモとして。

弘法大師の著作に『声字実相義』があります。

「言葉(声)や文字は真実そのものである」

このようなことが書いてあります。

説明します。

まず、真実に2面あります。

向こう側とこっち側の2面です。

心、はこっち側の真実です。

心はつや玉(『仏の心がわかる本』参照)で、この世の真相はそこに映ります。

映ったものに言葉で名前を付けます。

「認識」が起こる時、これらはすべて、つや玉上の出来事です。

ではもう一つの真実、向こう側とは?

心に映る「元」です。

それもどうやっても捉えられません。

(「向こう側:先験」と「こっち側:経験」とも言います)

こっち側の心には言葉のラベルがペタペタと貼られています。

それらの言葉は、貼るところがあるから貼れるわけです。つまり「真実」に貼られているわけです。

そして、その言葉や文字自体も真実のわが心から生まれてきたものです。

それで、

言葉が文字が真実そのものであるということが、証明されました。

次に、

こっち側の心は、向こう側が捉えられないことを証明しています。

未経験のこと、経験する前の真実も、経験してしまえばすべてこっち側の心になってしまう。

だから、つや玉しか自分たちは理解できない。そういう意味で世界はつや玉。

向こう側の真実の世界は、こっちに「伝えてきている」、それが説法で、慈悲。

こっちがそれをつや玉にそのまんま映していることが智慧です。

慈悲と智慧は仏。

真実の2面で大日如来です。