えー、長時間ありがとうございました。
私たちはこうやって、火を焚いて拝んでいるわけですが、
何をやっているのか、よく分からない人も多いと思います。
(うんうん)
もちろんこうやって仏さんと向かい合わせに座って、仏さんを拝んでいるんですが、
仏さんを拝むっていうのは一体どういうことか?
それは、自分たちが気づいてないけど、
私たちは自分の胸の中に、
仏さんの心を持ってるってことを、仏さんから教えて頂くことなんです。
お寺に行くと、色んな本尊さんがありますが、
よく見ると、みんな違う格好してます。
手を胸のところで合わせたり、刀持ったり。
これはね、
耳が聞こえない方の、手話ってありますでしょう?
あれみたいに、それぞれに意味があるんです。
合掌もそのひとつなんですが、
今日はその中から大事なもんの一つ、
一般のひとはあんまりやらんけど、両方の腰にげんこつを置く意味について少し話します。
武道をやったことあるひとなら、分かりやすいと思うんですが、
武道の動きっていうのは、腰から下がしっかりしてなきゃいけないと言うんです。
それから昔のひとは、困った時ほど、腰とか腹で受け止めろと言うたりしました。
この拳を腰に置くのは、そういう意味もありますが、
この場合、「向上心」がすべての基盤やでーってことを表してるんです。
現代人はすぐ頭に血が上って、
あたまで考えて、慌てて物事を解決しようとしてしまいます。
そういうときに、ぐっと下の方から湧き上がるような向上心でものごとにあたることが大事という教えなんです。
この向上心のことを、大きな心、大心ともいいます。
仏さんは僕らのことを、本当はそんな大きな大きな心を持った存在やって言うてくださってる。
僕らはいつも自分たちのごくごく一部だけ見て、自分たちのことを小さいと思ってます。
それは例えば、海の波の一つだけつかまえて、海は小さい小さいって言ってるようなもん。
分からんでもね、毎回毎回、小さい方じゃなく、大きくて温かい方の心を選んでいくことが大事なんです。
そうして向上心をわすれず一歩一歩あゆんでいくと、
自然と、皆さんが胸に秘めている願い事も叶うようになっているということを教えてくれているんですね。
向上心のあるところに、よい運は来る。
それなのに、もし自分の向上心がなくなってしまえば、土台がなくなるんですから、全部パーです。
ここに気をつけなければいけません。
これからお寺に行ったら、色んな本尊さんを見て見てください。
手が胸のところにあるんか、
何かを持ってるんか、
そんなふうにお参りしていただけたら、一層お参りを楽しめるのではないでしょうか?
それでは、これで護摩法要を終わります。遠いところをありがとうございました。