「あれはかなり潜った!」
「いやー、死にかけたよ!」
「あれはもう少しで底についてただろうな」
本人はかなり深く潜ったつもりでも、
もっと深く潜った人からすると、
いや、それだけ明るかったならまだ浅いよ…
ワカメが生えてるならまだ浅いな…
そういう魚がいるあたりはまだ浅いなあ…
自分より浅い人のことは、よく見える。
では、自分より深い人のことはどうだろう?
いやあ、真っ暗でね、冷たくてね、水圧がすごいんだよ。牙が長くて光る怪物みたいなヤツがいるだ。
その人が自分の分からないことを言ってるとしよう。
嘘つくなって思うかもしれない。
混乱しちゃうかもしれない。
浅瀬を潜った人には、
深海を潜ったその深さは想像できません。
なので、
どちらが深いかの話をしても
「こっちの方が深い!」
と言い合いになってしまいます。
どちらが深かったのかは、
見える人にだけ見えています。
自分の心をよく見つめている人は、
自分を見つめられていない人のことが、
手にとるように分かるものです。